今回は「仕事をしながら音楽活動をしている人も音楽活動を副業として確定申告をした方が良いですよ」という記事です。
確定申告が必要な条件というのは明確に存在しますが、今回は「正社員やアルバイトなどで働きながら音楽活動をして20万円以上の収入がある人」という特定の条件に絞って、なるべくシンプルに書きました。
なぜこんなことを書いたか?というと、私自身が会社員として働きながら兼業で音楽活動をして収入を得ているからです。サラリーマン兼業音楽クリエイターである私さくま氏が自身の経験に基づいてお伝えしていきます。
小難しい話だなーと思った方でも、飛ばし読みでもいいのでざっくり知っておくだけでメリットがあります。
なぜ確定申告するべきなのか?
シンプルに納税の義務があるからです。確定申告をしていないと脱税行為になるので無申告加算税や延滞金といったペナルティが課されることも当然あります。が、そんなこと言ってもみなさんの心は動かないと思うので(笑)メリットを端的に言うと節税対策ができるということです。
なんとなく「めんどくさそう」「わざわざ申告することで損しそう」というイメージがあると思いますが、実は確定申告によってさまざまな控除を受けて税金を安くしたり、還付金としてお金が返ってきたりする大きなメリットがあります。そうです、還付金ボーナスチャンスなんです。
私たちは申告によって控除を受ける権利がありますが、これは自動的に誰かがやってくれるものではないので知らずに放っておくと損していることもかなりあります。
所得税は所得に応じて変動しますが、実は国税庁や税務署は私たちの正確な所得を把握していません。なので、収入を元に計算してそこから税金の金額を算出しています。これによって本来私たちが払うべき税金よりも多く徴収されてしまうことがあります。それを防ぐために正確な金額を証明するのが『確定申告』なわけです。
どういう場合に確定申告が必要か?
冒頭で書いたように「正社員やアルバイトなどで働きながら、副業収入として年間20万円以上の所得がある人」は確定申告が必要です。「年間20万円以上の所得があるけど申告しなくてもバレないし、税金かかるの嫌だから申告しない!」と考えている人、払いすぎた税金が却ってくるのを見逃すことになりますよ。そして忘れたころに役所や税務署から「ちゃんと申告してください」というお知らせ、または督促が届きます。そうなる前に申告する必要がありますし、申告しておいた方がお得です。
また「副業で年間20万円も稼いでないから関係ないな」と思った人も、今後稼ぐつもりがあるならぜひ最後まで読んでみてください。
一般的には会社員やアルバイトの場合は毎月の給料から税金が天引きされていますが、先述した通りこれは収入から計算したおおよその金額で、必ずしも正確な金額ではありません。これをより正確な金額にするため『年末調整』という手続きを行っています。おそらくサラリーマンならみなさん聞いたことがあると思います。
会社員の場合は、その年の年末に扶養控除(収入が103万円以下の配偶者や子供など)や保険料の控除などを計算するために書類を経理係の方に提出したりしていますよね。これはあなたの代わりに会社(給与を支払うもの)が正確な所得を申告して「年末調整」を行ってくれているワケです。まぁアルバイトの場合は職場によってまちまちでけっこう何もしていないところもあるかもしれませんが。。
で、問題なのがここでは副業の収入や経費は一切計算されていないのです。
あたりまえのことですが、会社側が個人でやってる副業の分まで計算はしてくれません。
確定申告するとどうなるの?
そんなワケで自分の副業の収入は自分で申告する必要があります。じゃあ確定申告するとどうなるのよ?というと、控除額によっては税金が安くなったり払いすぎていた税金が還付金として戻ってきたりします。まず大前提として、収入から経費・各種控除を差し引いた金額が所得になります。
収入-経費・各種控除=所得
この【所得】に対して課税されるので、所得金額が少ない方が税金は安くなるというワケです。
以下のサイトでシミュレーションできるのでご自身の会社のお給料と副業収入を入力してみるとだいたいトータルでどれくらいの税額になるのか、確定申告が必要かどうかが分かります。
また、国税庁のe-TAXで『確定申告書等作成コーナー』で実際に各項目に入力していくと具体的な金額が出力されるのでお試しあれ。
経費にできるのはどんなもの?
たとえば以下のようなものが経費に出来ます。【機材費】
音楽による収入を得るために購入した機材などはその年の1月~12月に買ったものであれば経費として計上できます。- 音楽制作を行うためのパソコンやMac
- DAWやプラグインなどのソフトウェア
- 楽器やエフェクターなどのハードウェア
- 楽器ケースやケーブルなどのアクセサリ
※10万円を超えるもの(固定資産)は減価償却費として複数年に分けて計上する必要があります。
【家事按分】
自宅スペースの一部を作業部屋にしている場合、家賃や電気代の一部も経費として計上できます。- 地代家賃
- 電気代
【その他】
ライブ活動が主たる収入源であれば、自宅からイベント会場までの交通費やステージでの衣装代、ステージ用のスタイリングのための美容室の費用なども計上可能です。また自宅での音楽制作が主たる収入源であれば、作業用デスクや作業部屋の照明器具、エアコンなども計上可能です。あくまで一例ですが、このような経費を計上することで課税対象となる所得金額を減らすことが可能です。
そう考えると結構いろんなものを経費にできますよね。これってまったく悪いことではなくて、むしろ「ちゃんと申告すればその分は控除しますよ」というものなんです。なので、きちんと申告しないと本来より多く税金を徴収されて損してしまうというワケですね。
確定申告するために必要なこと
確定申告のためにやることは大きく分けて3つ。①収支を計算・記録しておく
毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得・経費による支出の金額を計算して、記録しておきます。手書きでやってもいいですが、今なら便利なツールやサービスがいっぱいあるのでオススメしておきます。②領収書を保管しておく
もし経費がかかったときにはその領収書を保管しておく必要があります。実際には確定申告のときに領収書の提出は不要です。しかし所得税法上、領収書は確定申告を終えた後も7年間保管することが義務づけられています。 事業を行っている法人や個人などを対象に行われる税務調査の際に領収書の提出を求められる場合があるため、しっかりと保管しておかなければなりません。
③確定申告書を作成して提出する
確定申告の受付期間になったら会社の給与による源泉徴収票と①で記録した収支をもとに、確定申告書を作成して提出します。ちなみに青色申告をする場合はまず最初に事前に届け出が必要なので要注意です。
青色申告と白色申告どっちがいいの?
青色申告と白色申告の2種類があり、それぞれ控除額と申告のプロセスが異なります。青色申告
青色申告は控除額や範囲が広く節税効果が高いですが、そのぶん申請や記帳が複雑になります。白色申告
白色申告の場合は、青色申告と比べて控除額がちょっと少ないですが、申告がシンプルでカンタンです。結局どっちがいいの?
一概には言えませんが、めちゃくちゃざっくり言うと- 収入が多い人は青色申告がよい
- 収入が少ないうちは白色申告でも充分なケースが多い
確定申告のやり方
①税務署へ直接行って申告する
初めて確定申告をする人は慣れていない場合は税務署の職員さんに教えてもらうと分かりやすいです。まずは居住エリアの税務署に電話で問い合わせて「確定申告するためには何が必要か?」を事前に相談してから足を運ぶことをオススメします。②税務署に郵送する
確定申告書に記入を済ませたら居住エリアの税務署に郵送します。内容に不備がなければそのまま受理されます。直接行かなくて済むのでラクではありますが、内容に不備があった場合は再提出とかになっちゃうと思うのでよく調べて書類をそろえる必要があります。この場合でも税務署に電話したら職員さんが色々応えてくれるので困ったときはまず相談してみた方が良いです。③e-TAXを利用してオンライン申告する
一番カンタンなのはe-TAXでのオンライン申告ですね。確定申告の時期になると税務署はめちゃくちゃ混みますが、オンライン申告なら自宅でいつでも可能です。パソコンからはもちろんスマホでもできるのでかなり気軽にできます。ただしマイナンバーカードが必要なので、まだ持っていない人は今のうちに作っておくことをオススメします。
あとe-TAXのページやシステム自体がいかにも官製WEBサービスって感じでかなり分かりづらいというか謎のステップやバグが多々あるので初めてだとけっこう苦戦するかもしれません。。笑
年々使いやすくなってきている様子なので今後のアップデートに期待。
※税理士さんに依頼する
もちろん税理士さんにお願いして代行してもらうことも可能ですが、収入が少ないうちにそれをやっても税理士さんに支払う費用だけでマイナスになってしまって全然意味がないですし、自分でやって仕組みを理解することがなによりも大事なので今回は省きます。まとめ
確定申告をすること自体も大事ですが、確定申告をするために自分の収支を把握してお金の流れをきちんと管理することもとても重要です。音楽活動に対する意識が変わるし、収支のバランスを真剣に考えるようになると収入が増えます。これはガチ。
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