どうも、さくま(skmmtt)です。
今回は堂々と人の曲をいじくりまわせる「ステムデータ配布」についてのお話。
ステムデータってなに?
ステムデータ(またはステムファイル)とは、音楽制作においてオーディオトラックをDAW上で編集しやすくするために複数のトラックをひとつのトラックにまとめたものです。それぞれ各トラック単体のデータのことを「パラデータ」と呼ぶのに対して、それをいくつかのくくりにまとめたものを「ステムデータ」と呼びます。
一般的には編集しやすくするためにまとめたり、ボーカルと楽器のパートを切り離してリミックスなどに使うために使われます。
ステムデータを公開してくれるアーティストが増えてきた!
普通はこのようなデータは制作側が持っているもので、一般的に公開されることはありません。しかし、近年このステムデータをアーティストやレーベルが公式に公開するケースも増えてきました。ファンがボーカルだけのアカペラデータを聴くことができるなど従来とは違った楽しみ方ができるのはもちろん、アマチュアのクリエイターによるリミックスやマッシュアップなどの二次創作による影響力が大きいことも要因のひとつと考えられます。
ステムデータを配布しているアーティスト
TM NETWORK
なんとあの小室哲哉さん率いる伝説のグループTM NETWORKの、これまた伝説的な楽曲「GET WILD」のボーカルアカペラデータがダウンロードできます!TM NETWORK「Get Wild」×サウンド&レコーディング・マガジン企画 あなたの「Get Wild」リミックス・コンテスト
サウンド&レコーディングマガジンという雑誌の企画で「Get Wildをリミックスしよう!」というコンテストが行われており、ボーカルの宇都宮さんのアカペラデータをダウンロードできます!
ステムデータというよりはボーカル単体のデータではありますが、こんな大御所のアカペラデータが公式に配布される日が来るとは。。
こちらは2017年8月16日までの期間限定配布です。
Gotch(後藤正文)
アジカンことASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル後藤正文さんのソロプロジェクトGotchの楽曲「Taxi Driver」のステムデータが配布中です!アジカンのときとはうってかわってチルでまったりしたビートで非常にナイスな感じの曲。
この曲のステムデータがフリーでダウンロードできて自由にリミックスできちゃうなんて、太っ腹!
最新楽曲「Taxi Driver」ステムデータのフリーダウンロードを開始!
2017年9月30日までの期間限定配布です。
ラブリーサマーちゃん
一切顔出しをしていないミステリアスな女性シンガーソングライターのラブリーサマーちゃん。そんな彼女の「ベッドルームの夢」という曲のボーカルデータが配布されています。ベッドルームの夢 ボーカルデータ無料配布
アップテンポだけどどこかドリーミーなシューゲイザー、ポストロック系の楽曲。いい曲。
こちらはボーカルとコーラスのステムデータに分かれていてどちらもGoogle Driveからフリーでダウンロードできます。公式も「リミックスなどなさって頂けたら嬉しいです」と太っ腹な対応。素晴らしい。
もしかしたらデータを配布してくれるかもしれないアーティスト
先日の記事でもチラッと触れましたが、w-inds.のメンバー橘慶太さんがTwitterで「ステムデータ差し上げます!」と発言していました。
We Don't Need To Talk AnymoreのオリジナルRemix作りたいDJさんとかトラックメーカーさんいないでしょうか?— KEITA (w-inds. 橘慶太) (@Official_KEITA) 2017年5月6日
DubscribeさんがカッコいいRemix作ってくれてたし。
作りたい方がいましたらステムデータ差し上げるんで言ってください!
メジャーの大手レーベルで活動するアーティストはレコード会社など権利保有者との問題が多くあると思いますが、とても挑戦的かつ素晴らしい試みだと思うので是非とも実現してもらいたいものです。
おわりに
個人的にずーっと前から思ってることなんだけど、二次創作はぜったいに新たな需要を生むので著作権・原盤権を持っている人(レコード会社やアーティスト)はもっと寛容になるべきだと考えてる。もちろんアーティスト自身やそれを発信する側として「自分の作品を意図しないサウンドやイメージにされたくない」っていう作品を大切にする感情は尊重しないといけない。
けどこの時代、2次創作によってその作品がたくさんシェアされて本来リーチできなかった層に届いたり、アーティスト自身も感心してしまうようなリミックスを作る人が現れたり、そんな新しいチャンスや可能性が無限にあると思う。
他のアーティストもこんなふうにステムデータの公開をしてくれたら、音楽をもっと色んな角度から楽しめて良いよなぁ。
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