プラグインソフト「Ozone7」を使ってマスタリングのやり方を解説している動画がすごい(解説付き)

David Bowieなどを手がけたマスタリングエンジニアのジョナサン・ワイナー氏によるマスタリング向けプラグインソフト『Ozone7』を使ったマスタリングのレクチャー動画なのですが、これがとても勉強になります。



Ozone7を持っている人はもちろん、持っていない人にとっても非常に参考になるので要チェックですよ。

この記事では解説内容を僕なりにサクッとまとめているので、動画をゆっくり見る時間がない方や「動画だけ見てもよくわからん」という人向け。 (元は自分用のメモ。笑)


Part1:マスタリングする曲のチェックとOzoneの概要説明


マスタリングする曲のチェック
Part1の前半では、まずマスタリングする曲を確認してどんな方向でマスターしていくかをワイナー氏がチェック。

  • ボサノヴァ風なグルーブ感をきちんと残したい
  • バスドラの高域とボーカルがぶつかっているので、バスドラを少し下げたい
  • 全体のバランスとして中域か中低域を下げるとよさそう
  • ボーカルが声を張った時にトーンが明るくなるのでなんとかしたい
  • ラウドにする必要はなさそう

要点を押さえた上で、これ以降のチャプターでどのようにマスタリングしていくかの指針を決めていきます。

Ozone7の概要説明
 

Part1の後半では主にウィンドウ右側のインプット/アウトプット周辺のボタン(バイパスやイヤーボタン、ステレオ・モノなど)の使い方を解説。
Ozoneをまだ使いこなせていない人やこれから使う人には非常に役立つ内容となっています。


Part2:プリセットの使い方と、マキシマイザーの解説。


プリセットは作業を開始するポイントを与えてくれる
Part2の前半はプリセットの解説。
ワイナー氏の言う通り、自分で1から調整していくだけじゃなくプリセットからイメージに近いものを選んでみたり、イメージとは違うけどこんなサウンドもアリだなってものをピックアップしてみたりして、そこから自分好みに足したり引いたりしていく使い方もいいですね。
まさしく「いろいろな考え方や変更の仕方を提示してくれる」というわけです。

マキシマイザーの解説〜マスタリング本編へ
Part2の半ばからマスタリング本編に入っていきます。
マキシマイザーのIRC I〜IRC IIIタイプの説明(なぜかIRC IVは省略されてるw)から始まり、スレッショルドやリリースなどの値の決め方についての説明、ピークレベルやRMS値についての講釈など。

このPart2は、Ozone7ユーザーのみならず「マキシマイザーの使い方がよくわからない!」という人にもオススメのチャプター。
そして見終わったあとはOzone7が欲しくなるという甘〜いワナ。笑

Part3:コンプとプリEQの使い方について


コンプの使い方について
Part2の前半はコンプレッサーについて。
ワイナー氏はここでマスタリングの基礎となる原理のいくつかを教えてくれます。

・マスタリングにおけるコンプのレシオは低くすべき
「ミキシングだと3:1〜6:1くらい当たり前だけど、マスタリングでは2:1でも高いくらい」とのこと。ちょっとだけが成功の秘訣だとワイナー氏は語ります。

・アタックタイムは長めに

「マスタリングではミキシングよりアタックタイムがかなり長くなる」
今回の課題曲のようなボサノヴァ風の曲なら20〜30ミリ秒、ヒップホップなら40〜60ミリ秒、クラシックだと100〜150ミリ秒など。

もちろん細かい設定は曲や場面によりますが、具体的な数字を挙げて解説してくれるのでとても参考になりますね。

プリEQの使い方について
プリEQはコンプをかける前に余計な帯域を削ることでよりコンプのかかりをスムースにするなどの目的で用いられます。

EQで削りたい場所やスイートスポットを探す時に、スイープして探すのではなく特定の周波数以外をカットしてモニターするやり方がベストだというワイナー氏。
ここでもプロのワザを垣間見ることができますね。


 スイープは「周波数を狭めて持ち上げる」って感じ。

 

ワイナー氏の場合は逆に「特定の周波数をソロ状態にして聴く」というやり方。

Ozone7ではこの方法を
  • Macの場合「Option+クリック」
  • Windowsの場合「Ctrl+クリック」
で出来るとのこと。
こんな機能あるの知らなかった!今すぐ試したいw

Part4:ポストEQについての解説と実践


ポストEQの使い方について
コンプをかけたあとマキシマイザーにいく前の段階でのイコライジング。
全体のバランスをより良くするためにここでは「低域と高域をブーストする」処理をしていきます。

  • 高域には色付けのないBaxandall(バクサンドール)タイプ
  • 低域にはボディと温もりのあるVintage(ヴィンテージ)タイプ

これらをインサートしたあとに聴き比べてみて
「ヴィンテージだと180Hzあたりが大きくなりすぎるから、もうひとつのEQに戻ろう」
など、微妙な変化を聴きとりながらワイナー氏がEQ選んでいく様子もとても参考になります。

低域と高域でタイプの違うEQを使い分けるというのもナイスな使い方ですね。
いろんなところで応用が効きそう。

おわりに

プロのマスタリングエンジニアがどのようにOzoneを使うか、ふだん目にする機会はあまりないので非常に有意義で勉強になりますね。
全然まだ再生回数伸びてないけどもっと評価されるべき素晴らしいレクチャー動画だと思うので、当ブログからも激プッシュしておきます。



ワイナー氏は他にもNeutron(ニュートロン)のレクチャー動画でも解説を務めており、こちらもまためちゃくちゃ参考になるので要チェックです。

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