レコーディングする前にやっておくべき10のこと

今日は「レコーディングする前にちゃんと確認しておくべきこと」を10個ほど考えてきたのでビシッと書いていくよ。



バンドマンとエンジニア両方の経験があるから伝えられることもあるはずなので、お役に立てればという思いでお送りしちゃいます。


①プリプロ



プリプロダクション(略してプリプロ)とは、本番のレコーディングの前に、曲の構成を練り直したり、歌詞を手直ししたり、アレンジやテンポ確認・調整することで、レコーディングに取り掛かる前の段階で曲のクオリティーを上げる作業。

確認事項、懸念される問題やメンバー間での認識のズレなどないことを明確にして、その上で本番へ向けたリハーサルを行うこと。

実はこれが出来てない人がかなり多いです!

じゃあどんなことを確認していけばいいの?
っていうのをこのあとの項目でしっかり解説していきますのでチャンネルはそのまま!

②BPM(テンポ)の確認



収録する曲のBPM(テンポ)がいくつなのかを明確にしておくこと。
BPM(Beats Per Minute)っていうのは1分間あたり(Per Minute)に刻む拍(Beat)の数を示す単位のことね。

収録時にBPMに沿ったクリックを聴きながら録ってもらうことが一般的なので、RECを開始するときにはエンジニアはこの情報が必要です。

バンドさんでめっちゃよくあるんだけど、「BPM180の曲録ります!」って言ってドラム録って、ベースやギターとかボーカルなんかの上モノ録ってるときに

「あれ、これいつもより遅くない?」
「普段やってるやつより速いんだけど!」

みたいになるパターン。

結果「練習してたテンポと違ったせいでベストなパフォーマンスを出せない」とか「完成した音源のスピード感にイマイチしっくりこない」みたいな現象に陥りがち。

普段の練習でクリックを使わないバンド(ドラマー)、同期を使わないバンド、ライブのときテンションでテンポ早くなっちゃったり走ったりしがちな人たちは要注意。

③フレーズの確認



いつものスタジオ練習ではみんなで同時に音出ししてるから気付かないけど、レコーディングで一人ずつ録ると

「え?お前そこそんなふうに弾いてたの?」
「俺の弾いてる音程/リズムと合ってなくね?」


ってことに初めて気づくことも珍しくありません。
それはリハーサルをなんとなく惰性でやってるせいだぜ、悔い改めな。笑

事前にプリプロの段階でそれぞれのパートをソロで確認してみるといいと思います。
ここがバッチリ合ってるとバンドのグルーブがより良くなってきます。

④スタジオでリハーサルした音源や、宅録したデモを用意する



リハーサルの一貫として、自分たちの演奏を客観的に聴くというのはとても効果的です。

MTRを持っている人はリハスタで録ってみたり、自宅のPCで簡易宅録したり、今ならスタジオでハンディレコーダーをレンタル出来る場所も増えてきているので、そういう簡易的にでも録ったものがあれば、スタジオの後にメンバー同士で確認しながら問題点を掘り下げることが出来るはずです。

ここで録った曲を事前にエンジニアに渡しておけたら、ちょっと親切かも。
あるとないではエンジニアの曲への理解度合いが違うし、バンドにとってもやっておいて意味のあることなので損はありません。

③の項目で触れた「各パートをソロで聴く」のも録って確認してみるとより問題が浮き彫りになってどこを練習すればいいかが分かりやすかったりします。

⑤メンバーとエンジニアの分の歌詞カードも用意しておく



ボーカルやメンバーの分は当然のこと、エンジニアの分も用意してあったら親切だしレコーディングが円滑に進みます。

「Bメロの『I love you〜♪』からお願いしま~す!」
とか初聞で言われても、俺この曲知らないからそれがどこか分かんないっす。笑

「『デデッデッデデーン!』のとこからお願いしま~す!」
とか言われるパターンでもよくあります。
でも波形見てすぐ「あ、デデッデッデデーン!これか。」ってわかるときもあるのでとりあえず言うだけ言ってみてください。笑

レコーディングする日その瞬間に初めてその曲を聴くことがほとんどなので、無きゃないでいいけど、あったほうが理解も深まりますしこちらもアドバイスしやすいです。
やっぱり歌詞カードがある方が判断しやすくオペレーションがスムーズに出来るようになります。

意外とあるのが「レコーディングの前に歌詞を変える」とか「適当な歌詞で歌ってたのでちゃんとした歌詞をあとづけする」っていうパターン。なぜ今日までの間にできなかったのか?笑
収録に充分な時間をかけれるならいいけど、短い時間で何曲も録ったりしようとするならこういうことはやめたほうがいいでしょう。

あなたが突然の変更にもすぐに完璧に対応できるような腕のあるミュージシャンでない限り、レコーディングのときにいきなりいつもと違うことをするのは時間をロスする大きな原因になります。

⑥コーラスのメロをちゃんと決めておく



意外にも多くのバンドがここをちゃんとやっていません。
かなり甘く見てる人が多いですが、ここをちゃんとやっておかないと当日かなり時間を割くハメになります。「当日考えればいいや」なんて愚の骨頂です。笑

もしあなたがしっかりした相対的音感の持ち主で、メインのメロに釣られず的確にいいハモリのメロをその場で歌えるセンスと歌唱力のある方ならまったく問題ありません。

ハモりを考えるのが苦手な人、決めてないけど入れたいって人たちも結構おられますので、そういうときは一緒にどのハモりだとハマるかを提案したり、鍵盤を弾いて一緒に考えたりもしてます。

時間の余裕があるならそれでももちろんOK!
時間と予算に制約がある場合はちゃんとコーラスは決めてこなきゃダメ!

前項でも書いたとおりレコーディングのときにいきなりいつもと違うことをするのは時間をロスする大きな原因になります。
そのために事前の確認、スタジオリハやプリプロが必要なんです。


⑦曲のアレンジを練っておく



ライブやスタジオ練習で日々演奏していく中で「ここはもっとこうしたいな」って思ってるけどメンバーには言ってなかった部分とか、「まだ試してないけど、これ合うと思うんだよな」っていうフレーズやアレンジを、メンバー個人的に持ってることってありますよね。

これはレコーディング当日いきなりメンバーに披露して議論するよりも、事前に話しあって音出してみて決めるのがいいと思うんです。
くどいようですがREC当日に急に「これどう?これは?うーん、どれがいいかな?」なんてやってるとそれだけで時間が過ぎていきます。

アレンジを練るのはレコーディングスタジオでなく、事前のリハーサルスタジオでやっておくと当日よりスムーズに進みますよ。

⑧リファレンス(参考にする物・イメージ)を用意する



こんな感じにしたいなーという曲やアルバムを用意しておいて、事前に(あるいはまぁ当日でも)エンジニアに伝えたり音源を渡したりしてください。
そうすることでエンジニアは「あ、こんな音にしたいんだな、そしたらこのマイクを使おう」とか「こんなふうに録ってみよう」とか準備ができたり、雰囲気やサウンド、ニュアンスを近づける努力をします。

しかしここで注意して欲しいのが、リファレンスを伝えたからといってまったく同じようなサウンドになるわけではありません。いろんな条件下で音は変わるからです。

これについては次項で説明します。

⑨ミックスでどうにかなると思わないこと



特にProToolsなどのDAWやソフトベースの機材が増えた昨今ありがちな発想で、自分も昔そう思ってたんですが、「ミックスでリズムも音程も直してもらって、音も俺好みのあのバンドみたいに!」っていうワケにはいかないんです。

エンジニア目線で言うと特にマイクによってまったく音が変わるので、録りの段階で最終的な方向性もガラっと変わってきます。

予算が少なければ安いスタジオでマイクの選択肢もなく、部屋の防音・吸音設備もあまり良くない環境で録っても思うような効果が得られないことは当然ですがあります。
いいスタジオを使って1本何十万円のマイクで拾った音を一台何十万円のマイクプリやコンプなどアウトボードを通して丁寧に処理された音は低予算では実現し得ないものです。

かといって予算的な問題も当然あると思うので、なによりもまずはしっかりとピッチを暴れさせずに歌うことや、リズムやタイミングをバッチリ合わせた丁寧な演奏を心がけることが一番いい音源に近づけるコツです。

レコーディングのときって考え方によってはライブよりも演奏がシビアで綱渡りのような瞬間の連続。 ですが、それを乗り越えて録りきったあとには必ずプレイヤーとしてもバンドとしても成長しているはずです。

⑩コンディションを整えておく



メンバー各々の体調管理や、ボーカルの喉をいい状態にしておくのは当然のこと、人間だけでなく楽器のコンディションも万全にしておきましょう。

ギターの弦は直前に変えるとチューニングが本番で不安定になるので馴染ませるために少し前もって変えておくと良いでしょう。

楽器のメンテやリペアも有効ですが、メンテに出した後にも自分で状態のチェックが必要です。以前「ちゃんと調整に出して準備万全です!」とベースのRECに臨んだら、アース不良でノイズがかなりひどくて使えないという事例もありました。

事前にアンプから音出ししてコンディションを確認、調整しておきましょう。

まとめ

そんなワケでレコーディングする前にやっておくべき10のことを書いてみました。
ホントはもっと書きたいこともあるけど、ダラダラ長くなってもアレなのでキリよく10個。

ちょっと辛口な部分もあったかとは思いますが(自戒の念も込めて書きましたのでw)これからレコーディングを控えてる人、やろうかなーと思っている人はそれとなく参考にしてみてください。

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